ブラックナイト(黒騎士)

文学・芸術

これは309回目。オーパーツという言葉があります。「発見された場所や時代とは全くそぐわないと考えられる物」を指す言葉。「場違いな工芸品」ということです。もともと英語の「out of place artifacts」を略して「Ooparts」とした造語なんだそうです。それも巨大なものが、地球を周回しているそうです。

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これは、世界的に有名な動物学者・超常現象研究家のアイヴァン・サンダーソンが提案したとされる言葉で、アメリカの作家レニ・ノーバーゲンの著書を通じて広まった。

多くのオーパーツは、どこまで本当でどこまで捏造されたものか、よくわからない。現代人が、人為的に製造し、太古の地層から見つかったと偽って世に出たオーパーツが、あまりにも多いのだ。

その中で、どうにも解釈に困るものが一つある。それが、黒騎士(Black Knight satellite)と呼ばれる、地球軌道を周回している宇宙衛星である。

一説には、1万3000年も前から北極上空を通過しながら、地球軌道を移動しているとされるこの「黒騎士」は、全長120mというから、相当巨大である。

この謎の衛星の存在が確認されたのは1920年頃だと言われている。当時、電波が各地で受信されており、不可解な電波に世界中の科学者の議論は錯綜していた。

もちろんその当時はまだ人類には衛星を打ち上げる技術力はなかったから、確認のしようがなかった。有名な科学者ニコラ・テスラもこの存在を知っており、この衛星から信号を受信していたようだ(1899年に遡る)。

実物が確認されたのは、人類初の人口衛星、1957年にソビエト連邦が打ち上げたスプートニク1号だった。スプートニクの上空から巨大な影が覆ったのでわかったのだ。

天文学者のダンカン・ルナンが、発信されている奇妙な電波を調べたところ、それが意味するところは星図であると発表している。

その星図とは、星の位置を計算すると約1万3000年前、地球から見た星図(うしかい座のイプシロン星)であると結論づけた。(もっともその後この点に関しては、疑義が呈されており、本人も撤回してしまっている。)

ともあれこの謎の衛星「黒騎士(ブラック・ナイト)」は、毎時2万9000キロで進んでおり、北極上空を通過することが確認されている。

1960年2月には、アメリカ海軍が赤道面から79度傾いた軌道を公転周期104.5分で周回しているという新しい報告をしている。レーダーで探知されたのだ。これはかなり特異な軌道を持ち、地球からの遠点が1728キロメートル、近点はわずか216キロメートルだとしている。

同年9月3日、衛星がレーダーに最初に検出されてから7ヶ月後、軍需産業のグラマンのロングアイランド(Long Island)工場の追跡カメラがその画像を撮影した。当時は地上にいる人々も約2週間に渡ってそれを目撃していた。

以後、アメリカやソビエトが競うように宇宙に進出していったが、この衛星の正体は判明しなかった。他国のスパイ衛星ではないかと監視はしていたが、米ソその他いずれの国も、自国のものではない、と否定している。なにしろ120mである。そんな人工衛星など、人類は地球軌道上に周回させたことがない。宇宙ステーションで100m級だが、通常それでも70mである。

黒騎士の調査のため調査団が発足したが、以後、調べた情報が公表されたことは一切無い。旧ソビエトの科学者たちはこの謎の衛星が地球外の物かもしれないと予想し、回収する計画があったとも言われている。

黒騎士の名称の起源は明らかではない。本来の「黒騎士」とは、紋章を塗りつぶし出自が明らかではない騎士を指す言葉である。

また、この正体不明の衛星、実は一つだけではなさそうだ。現在確認されているだけでも5機ほどあるらしい。以前はNASAの公式サイトにこの謎の衛星の画像があったが、現在は削除されていて閲覧出来ない状態になっている。

そして日本上空にも今年の2月5日、7日にそれぞれ黒騎士の衛星らしき陰が、地球の衛星写真により撮影されている。NASAの写真にもくっきりとその姿が撮影されている。姿形もぴったり符号する。

地球の周回軌道上にある人工衛星は、現在2465個である。そのほか、廃棄された残物(デブリ)が6216個周回している。そのいずれでもないものが、電波発信をし、ときに信号のように発光する巨大な物体が、もっとも地球に近接する場合には216kmにまで迫って移動している。通常人口衛星は(高度で言えば)、遠点で22236km以上の軌道、近点で2000kmであるから、遥かに近点では通常の人工衛星より地球に近い。このような異様な軌道周回をするものは、存在しない。

NASA(米航空宇宙局)が公開していた画像(今は削除されている)などは、公開したということ自体が、たいしたものではないと判断したから公開したという見方も成り立つ。また、削除したのも、無用な混乱を巻き起こすべきではないということで、削除したともいえる。何ともわからない。

ただ正体不明の、異様な軌道を持った、人類が飛ばしたものではない(各国がその所有を否定している)なにものかが、少なくとも5機、地球を周回し続けているということだけがわかっている。古代の地球外生命体による衛星だという確証は無い。

米国が、秘密衛星の存在を知られたくないために、隠蔽しているという説もある。つまり、米国のスパイ衛星だという説だ。しかし、自ら所有を否定したのでは、ロシアなどに捕獲されたりでもしたら、それこそ事であろう。所有権を主張しておかなければ、かえって不利である。従って、この線はなさそうだ。

ちなみに、この黒騎士だが、近年は電波を発しているという話が無い。例の1万3000年前の星図だという仮説も、かつて受信された記録を分析した結果にすぎない。ということは、今は電波を発していないということだろうか。

一方で、地上から目視できる、近点を周回している多数の写真には、黒騎士が光を発している様子が鮮明である。いよいよ不可解。こういう話があると、現在では盛んに捏造された画像も多数出回ることから、なにが本当かわからなくなっているというのが実情。

はっきりしていることは、どこの国も所有権を主張しない、正体不明の衛星が(それも巨大な衛星が)、確かにこの星の回りを延々と周回し続けているという事実だけだ。



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