月はほんとうに月なのか?

文学・芸術

これは316回目。あの月のことですが、あれは本当に月だと思いますか。要するに、自然に出来た衛星ではなく、地球外知的生命体がつくったもの(たとえば、巨大な宇宙船)だとしたら、どうします?
なにをそんな世迷いごとを、と言わずに、冷やかし半分、まあ読んでみてください。

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1969年7月20日午後10時56分(日本時間21日午前11時56分)。人類は宇宙開発史上、特筆すべき歴史的な一瞬を迎えた。アポロ11号による月面着陸だ。以来、人類は月に6回着陸。計12名の宇宙飛行士が月面に足を踏み入れた。

驚くべきことに、人類が月に降り立つたびに、月の謎が解明されるどころか、ますます謎が深まっているというのが実情だ。

そもそもから言えば、月の起源の謎がある。月の起源については、大きくは①親子説、②兄弟(双子)説、③捕獲(他人)説の3つの仮説がある。

親子説は、地球の一部分が分裂して月になったというものだが、現在ではほぼ否定されている。なぜなら、地球の年齢よりはるかに古い石が月面で採集されているからだ。しかも、地球と月の構成物質にも大きな違いがあることが判明している。つまり、親子ではなく、まったく血縁が無いらしいということがわかってきているのだ。

兄弟説は、月も地球も同じ時期に同じ場所で、原始塵雲が凝集してできたとする説。
しかしこの説も、親子説の否定材料がそのまま適用できるので、ほぼ説得力はない。

最後の捕獲説は、別の宇宙空間から飛来した遊星が地球の引力にとらえられたという説。現在主流をなす説だが、偶然的要素があまりにも強すぎる。月が地球の半径の2.7倍の距離内に入ると、地球の強烈な潮汐力のために月は粉々に破壊されるという“ロッシュの限界”という法則がネックとなり、定説とはなりえていない。

つまりかりに奇跡的に捕獲できたとしても、なお大きな疑問が残るのだ。天文力学の理論からすると、月が自然に地球の引力にとらえられたのであれば、月の軌道は楕円形を描かなければならない。ところが、月の軌道の長半径は約38万4400キロ、短半径は約38万3800キロと、ほぼ真円に近い軌道なのだ。

しかも、この月の軌道位置そのものもじつに不可解だ。考えてもみてほしい。地球からの見かけ上の月と太陽の大きさが同じなのだ。同じ見かけ上の大きさだから、月蝕や日蝕という現象が発生する。

数字で確認してみよう。月の直径3476キロに対し、大腸の直径は138万3260キロ。つまり、月の大きさは太陽の約400分の1だ。

一方、地球-月間の距離38万4000キロに対し、地球-太陽間の距離は1億5000万キロ。その比率も約400分の1になる。

この1対400という比率は、はたして偶然の一致なのだろうか。あまりにもできすぎた地球-月-太陽の位置関係であることは言うまでもない。

しかも、である。月の自転周期と公転周期がピタリと一致しているのだ。これはさらに奇怪というほかはない。だから、月はつねに表側だけを地球に向け、裏側の素顔を隠しているのだが、これもたんなる偶然で済まされる事実なのだろうか。

さらに月の実体に目を移すと、驚愕すべき謎が次々と浮上してくる。たとえば、月の石の年齢だ。月面には地球と太陽系の起源よりもはるかに古い石が存在することが判明しているのだ。月のほうが、ずっと古いということだ。

地球の年齢は約45億年というのが定説だ。が、1973年に開催された国際月会議で、月の石のなかに53億年前のものが確認されたという報告がなされた。アポロ12号が採集した石のなかから、200億年前の石が2個見付かったという報告もある。

この200億年前というのは、一体どういう意味を持つとお思いだろうか。なんと宇宙創生の推定年代に等しい数字なのである。

200億年はともかくとしても、現在最も信頼度が高いとされるポタミウム・アルゴン法によっても、いくつかの石が70億年前という数値が判明されている。少なくとも、月が地球や太陽系よりもはるかに古い存在だということは、確実なのだ。

石にまつわる謎はほかにもある。月の“海”の部分で採集されたサンプルは、地球ではきわめて珍しい存在のレアメタル、すなわちチタニウム、ジルコニウム、イットリウム、ベリリウムなどを信じがたいほど多量に含有していることが判明したのだ。

これらのレアメタルは融点がきわめて高い。金属成分が溶解・融合して岩石状になるには、最低でも4000度の高熱が必要とされる。そのような高熱が何によってもたらされたのか、まったく不明である。

月の最大の特徴とされるクレーターにも、解けない大きな謎が潜んでいる。小は直径数十センチから大は直径数百キロのものまで、その数は無数といっていい。

これらができた要因については火山説と隕石衝突説があり、現在では後者のほうが支持者は多い。が、その当否はともかく、なによりも不可解なのは、クレーターの深さが直径に比して一様に浅すぎる、ということだ。

理論上は、直径10メートル以上の隕石が衝突すれば、ひかえ目に見積もっても直径の4~5倍の深さの穴ができるとされる。過去の月には、直径数キロ単位の隕石は無数に衝突したに違いない。

ところが月のクレーターは、深くてもせいぜい3~5キロ。最も深いガガーリン・クレーターですら、わずか6キロ強の深さしかない。ガガーリン・クレーターをつくった隕石の大きさは不明だが、深さから逆算すると、直径は1.2~4.5キロにしかならない。しかし、このクレーターの直径は298キロ、クレーター面積は北海道の面積にほぼ等しい約7万平方キロもある。クレーターの規模からいえば、もっと深い穴があいて当然なのである。

しかも不可思議なことに、多くのクレーターの底面は、月自体の球面の曲率にしたがってふくらんでいる。深い穴があくどころか、逆に盛り上がっている奇怪な事実がある。

巨大な謎がさらにある。アポロ計画では、月探査の一環として何度かの人工地震実験を行なっている。その実験結果にまつわる謎だ。

最初の実験を行なったのはアポロ12号。月着陸船が指令船に戻るとき、月面上空釣65キロから離陸装置を落下させて人工地震を起こし、その震動パターンを調査した。

このとき、『嵐の大洋』に設置されていた地震計が、なんと55分間も継続する震動を記録したのである。しかもその地震パターンが不可解きわまりないものだった。

地球の地震は初期微動にはじまり、ピークに達したあと急速に衰えていく。ところが、月の地震は小さな波動から次第に大きくなってピークを迎え、そのピークが長くつづいたあと徐々に減少していったのだ。

地震計の故障ではない。アポロ13号・14号・15号による実験でも同様の奇妙な地震が観測されている。とくに顕著だったのはアポロ13号の実験で、地震計は3時間20分もの継続地震動を記録している。

これが何を意味しているかといえば、簡単なことだ。月は、いうなれば内部が中空になっている巨大な“鐘”や“銅鑼”を叩いたときのような不思議な揺れ方をしたということだ。

解き明かせない謎のオンパレードに、正統派科学者は正直立ち尽くしているというのが実情だ。解明の糸口すらつかんではいない。

ところが、これら不可解な謎の数々を一挙に解決してくれる有力な仮説がある。アカデミズムはむろん、その仮説を認めていない。通常の発想からすると、あまりにも荒唐無稽な仮説だからだ。だが、この途方もない仮説によれば、すべての謎はたちまち氷解してしまう。

それは、月が、巨大な宇宙船=UFOだという仮説だ。この驚愕すべき大胆な仮説は、旧ソ連の天文学者ミカイル・ヴァシンとアレクサンダー・シュシェルバコフによって、1970年7月に旧ソ連の科学唯誌『スプートニク』に発表された。

曰く、「太陽系外のどこかの宇宙空間に超高度な文明をもつ惑星があったが、あるとき壊滅の危機に瀕した。そこで、惑星の住人は小惑星の内部をくりぬいて巨大宇宙船に改造。長途の宇宙旅行に旅立って地球と遭遇し、その隣に腰を落ち着けた。月はいわば“宇宙版ノアの箱舟”である。・・・月は地球の自然な衛星ではなく、小惑星を改造した巨大宇宙船であり、先進文明をもつ地球外知的生命体が操縦して、太陽系の外から地球の近くまで運んできた」

明快な解答だ。一瞬笑ってしまいそうだが、旧ソ連の学者は大真面目にこの仮説を展開した。実際、これによると、月の地球周回軌道に関する謎も、真円に近い軌道、正確に計算されたかのような地球-月-太陽の位置関係、といった疑問も一挙に解決できる。それらはけっして不思議でもないし、偶然の一致でもない。意図的、人工的なものだということになるからだ。

地球外知的生命体が最も都合のよい地球周回軌道を計算して“定位置”を決定、その定位置の軌道へ月=宇宙船を意図的に乗せたのである。

月の自転と公転の周期が一致しているのも偶然ではない。そこにはおそらく、なんらかの意図、たとえば地球人類に裏側を観測されたくない、といった意図が隠されていると考えられるのである。

太陽系よりも古い宇宙のどこかで形成された小惑星が宇宙船に改造され、太陽系誕生後のある時期に地球周回軌道まで操縦されてきた。つまり月=宇宙船は、故郷を離れてから地球の近くに飛来するまで、数万年あるいは数億年のオーダーで宇宙空間をさまよい、さまざまな“時間圏”を通過しただろう。

その間に、彗星の巣、流星のシャワー帯、小惑星帯‥‥などの危険地帯に遭遇し、無数の隕石や彗星の襲撃を受けたことは想像にかたくない。

とすれば、月に地球や太陽系の起源以前の岩石があったとしても不思議ではないし、極端な年齢差がある岩石が月面に混在していても驚くには当たるまい。月面にクレーターが無数にあるのも当然の結果だろう。

旧ソ連のふたりの科学者はこう考える。

「月の外殻は二重構造になっている。外側の第1外殻は粗石殻、内側の第2外殻は人工的につくられた堅固な金属殻である」

つまり、第1外殻は宇宙船の塗装部分に相当し、第2外殻が真の船体であるというわけだ。

「海は自然の形成物ではない。隕石などの衝突によって第1外殻が破損したので、第2外殻(船体)を強化するために、耐熱性金属成分(レアメタル)を多量に含む溶岩状物質を人工的につくり、破損箇所にそそぎ込んだ。その結果できあがったのが海である」

海が表側に圧倒的に多い、すなわち表裏の地形に極端な違いがある理由も、これで納得がいく。月=宇宙船の前面に当たる表側のほうが、裏側よりもより大きく破損されただろうことは容易に想像される。

クレーターの深さが直径に比べて一様に浅すぎるという謎も、すでに謎ではない。月面に激突した隕石は第1外殻を破壊してさらに突き進もうとしても、硬い金属質の第2外殻、すなわち地球外知的生命体がつくった堅固な防護壁に阻止され、それ以上の侵入は不可能だったに違いない。

ちなみに旧ソ連の二人の科学者の試算によれば、第1外殻の厚さは平均4.8キロ、第2外殻の厚さは約32キロ。衝撃がいかに強くとも、第2外殻はわずかにへこむ程度だったろう。

月の不可解な地震パターンの謎も、すでに解明されたも同然だろう。ヴァシンとシュシェルバコフは、月の内部構造についてはこう推定している。

「内部には直径約3300キロの別の球体があり、その表面に諸施設が配されている。この内部球体と外殻の間に約43キロにおよぶ空洞部があり、そこに生命維持用あるいは乳業用のガスがたくわえられている」

思えば、「かぐや姫」の話も、古来、地球外生命体の話ではないか、ということは、まことしやかに語られてきた。まさに月は、ロマンに満ちている。

さて、余談だが、宇宙というのは本当にわれわれの想像を超える世界観が広がっている話だ。

我々は、ついつい太陽が一番大きな恒星であると思いがちだが、上にはいくらでも上が出てくるのが宇宙である。

たとえばおおいぬ座VY星がそうである。ちなみに、現時点でこのVY星が、確認されている最大の巨星ではない。それでも、なんと直径は太陽の約1420倍である。イメージがつくだろうか。質量は太陽の30~40倍である。

ちなみに、太陽の直径は地球の約109倍。体積は同じく約130万倍程度だ。質量は約33万倍程度。

それでも、ピンと来ないだろう。たとえばみれば、こうなる。太陽が直径10mの、コンビナートにあるガスタンクだと思ってほしい。よく港湾にある、あれだ。あるいは、3階建のビルの大きさの球体を思い浮かべてもらってもよい。それが太陽だ。

これに対し、そこから1km離れたところに、直径9cmのソフトボールを置いたとしよう。それが地球である。こういう大きさと距離の関係にある。VY星は、その太陽の1430倍なのである。

このおおいぬ座VY星の周りを1周するのに、どのくらいの時間がかかるだろうか。たとえば、世の中で一番速いとされる、光(秒速30万km)が星を1周するのに8時間。アポロ宇宙船(秒速10km)で29年かかってしまう。ジェット旅客機(時速800km)で1305年かかり、新幹線500系(時速300km)で3492年必要だ。さらにわれわれが徒歩(時速6キロ)で不眠不休の場合、174600年かかってしまうことになる。地球の場合は理論的には9ヶ月で踏破できる。

なんともとんでもない宇宙に、病原菌くらいのちっぽけなわれわれが住んでいるというのが、実感できようというもの。こういうことを知ると、なんだか毎日株価を追いかけているのが、実にばかばかしくなってこないだろうか。



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