ブロンドが絶滅する

文学・芸術

これは160回目。ブロンド(金髪)の女性は頭が悪いという都市伝説があります。現在では、これは否定されています。たとえば、ハリウッド女優のシャローン・ストーンは、13歳のときにすでにIQが130であったそうですが、これは、成人時点でのアインシュタインのIQと同じです。

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ちなみに、シャローン・ストーンは、純然たる金髪なのではなく、限りなくブリュネットに近いらしいが。

ブロンドというのは、基本的に劣勢遺伝である。ブリュネット(栗毛)や黒髪は圧倒的に優勢遺伝である。したがって、ブロンドが生き残るのは大変なのだ。

白人の間でやたらとブロンドが目立つように見えるのは、一説によれば、古代、狩猟に出て命を落とす確率が高かったのは男性であったために、性差による人口バランスが崩れがちであった。

生殖という本能から、金髪は数多の女性の中で、とにかく「目立った」ことから、金髪が増えていったのではないか、と言う。あくまで仮説だ。いまだに、ブロンドというのは、世界の人口比率ではわずか1.8%しかないのだ。驚くほど少ない。確かに、それだけ劣勢遺伝なのだということは、わかる。

ブロンドの毛質は非常に細く、体全体をカバーするために、ブリュネットや黒髪より、一人当たりの本数が異様に多い。ブリュネットや黒髪が一人平均10万本に対して、ブロンドは14万本である。

また、ブロンド女性は蚊に食われやすいという。皮膚がソフトで弱く、毛細血管にすぐ届きやすいのだ。

話は冒頭の話題に戻るが、ブロンドは頭が悪いということは否定されているものの、現実問題、イギリスにおける人口調査で、ブロンド女性とブリュネット・黒髪女性との平均所得の統計がある。これによると、ブリュネット・黒髪のほうが、平均4300ポンド、年収が多いという結果が出ている。つまり、60万円である。月収にして、5万円も違うということになる。

確かに、ブロンド女性は、ビジネスセンスやキャリア意識、あるいは組織の中での上昇志向において、ブリュネットや黒髪に比べて、やや劣勢であるということが言えるのかもしれない。

5月31日は、「世界ブロンド女性の日」だったそうだ。そういうものがあることも知らなかった。そこで知ったのだが、ブロンド女性というのは他色の毛髪を持つ女性たちにくらべて、「非常に」女性ホルモンが多いのだそうである。

だからだろうか、ハリウッドの大スターというと、どうも「金髪」が目立つような気がする。気がするだけで、事実ではない。やはり金髪=ブロンドは目立つのだ。

豪州出身のハリウッド女優のニコル・キッドマンは、地毛は赤毛である。往年の大スターだったマリリン・モンローも、実は地毛は赤毛である。

やはり往年の大女優だった、イングリッド・バーグマンやグレース・ケリーのように純然たるブロンドも確かにいた。

こうしてみると、ハリウッドという女優にとっては性的アピールが非常に重要な世界にあって、ブロンドがひときわフェロモンを刺激するものだということは、なんとなくわかる。

ただ、ハリウッドではブロンドでなければ成功しないのかというと、そうではない。というより、その時代時代を彩った大スターというものは、どちらかというと、ブリュネットや黒髪が多い。

古いほうから言うと、ビビアン・リーがその典型である。といっても、若い人にはわからないかもしれないが、昔の映画「風と共に去りぬ」の主演女優だというと、なんとなくわかるかもしれない。あるいは、エリザベス・テーラーもそうである。また、ハリウッドで成功した欧州系女優は大変少ないのだが、たとえば昔であればソフィア・ローレンがそうである。

ブリュネット、あるいは黒髪というのは、実はハリウッドでは、どういうわけか時代を画した大女優というのが、やたらに多いのだ。アンジェリーナ・ジョリーもブリュネットである。ジェシカ・アルバもそうだ。

時代の移り変わりというものもあるかもしれない。アメリカにおいて、世界との交流が深くなっていった戦後、黒髪やそれに近い髪色というものが、エキゾチックなフェロモンを触発するようになっていったのかもしれない。

性的アピールで、ブリュネットや黒髪にポジションを取られてしまうようだと、ますます劣勢遺伝のブロンドとしては、立つ瀬が無くなる。

実際、ブロンド女性は絶滅に向かっているという研究がある。生物学者の予測によれば、ブロンド女性は2202年には絶滅するという。これは、危機だ。わたしはどうでもよいが、ある種が絶滅するということは、けして良いことではない。

もっとも、2202年である。このペースでバイオ・テクノロジーが発達していくと、ブロンドも、ブリュネットも、そして赤毛、黒髪も、自由に遺伝形質を選べる御時勢になっているかもしれないじゃないか。だいたい、こういう絶滅というカタストロフィー説が出てくるというときは、実際にはそうならないことのほうが多いような気がするがどうだろうか。

ちなみに、かつて日本マクドナルドの創始者である藤田田(でん)がかつて、「日本人がマクドナルドのハンバーガーを1000年食い続ければ、金髪になる」と言ったが、1000年と言わず、ものの数十年でやたらと金髪が増えている。日本では、世界の趨勢とは逆に、ブロンド人口が増加しているのである。これは一体何を意味しているのだろう。



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