立ち尽くす日々に、心を洗いましょう

歴史・戦史

これは37回目。たまには、わたしの駄文ではなく、美しい祈りの言葉を心に沁みわたらせましょう。

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アメリカ・インディアンというのは、とても不思議な世界を持っていた。今では、純粋に彼らの伝統や文化が残っているところはない。ただ、古老たちの間に、語り継がれたものがわずかに残されており、往時の神秘的な生活をかいま見ることができる。

1万8000年~2万年前、ベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に移住した6人の母親から、現在のアメリカ・インディアンが生まれたことが、DNAから立証されている。98%の確率だそうだ。合衆国独立当時、200万人いたと推定されるそのアメリカ・インディアンは、19世紀末には、25万人に激減していた。

白人が大陸に持ち寄った病気も、かなりの人口減少に影響があったようだが、なんといっても合衆国による「民族浄化政策」によって、殺戮(さつりく)された分が多い。彼らの組織的抵抗は、1876年のリトルビッグホーンの戦いで、カスター将軍の第七騎兵隊を全滅させたのを最後に失速していった。彼らがれっきとした合衆国国民として認められたのは、1924年のことだった。現在148万人にまで回復してきている。

彼らは、ことのほか精霊信仰が豊かであったことで知られる。その魂の美しさは、オジブワ族の祈祷文によってあますことなく表現されている。祈祷文でありながら、もはや一編の詩として、おそらく世界的にも第一級の芸術作品と呼んでも過言ではない。私が御託を並べるより、引用してみよう。youtubeにもあちこちでアップされているから、そこから一つを借りてみた。

立ち尽くす日があれば、ふと思い出して読んでみるといい。きっと心が洗われるはずだ。あらゆる宗教宗派を超えて、誰からも受け入れられる普遍性がそこにある。

大いなる霊よ。
私は風の中にあなたの声を聞きます。
あなたの息吹は、万物に命を授けています。
どうか私の言葉をお聞きとどけください。

あなたが生んだたくさんの子供の1人として、
私はあなたに心を傾けているのです。
私はこんなにも弱く、こんなにも小さい。
私にはあなたの叡智と力が必要です。

どうか私が、美しいものの中を歩んでいけますように。
そして、赤と緋に燃える夕日の光を、
いつも目にすることが出来ますように。

あなたが創り出したものを、
私の手がていねいに扱うことが出来ますように。
そしていつもあなたの声を聞き取っていられるように、
私の耳を研ぎ澄ませておいてください。

あなたが私たち人間に教え諭したすべてと、
一枚一枚の木の葉や、ひとつひとつの岩に隠していった教えのすべてを、
私が間違うことなく理解できますよう、どうか私を賢くしてください。

私に叡智と力をお授けください。
仲間たちに秀でるためではなく、
私の力をもって最大の敵を打ち倒すために。
汚れていない手と、まっすぐな眼差しをもって、
私があなたの前に立つことが出来ますように。

そのようであることが出来れば、私の命が、
夕日が消え霞んでいくようにして、この地上から消え去っていくとき、
私の魂はあなたのもとへ、堂々と立ち帰って行けることでしょう。



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