国家機密としてのUFO
これは164回目。UFO(未確認飛行物体)を見たことがありますか? わたしは、すくなくとも5回、見たことがあります。小学校5年のときに母親や近所の人たちと。後は、大学、社会人になってから友人たちと。あれらすべてを、衛星や観測気球や、飛行機、ヘリコプター、流星だと考えるのはほとんど無理があります。飛行運動があまりにも、急速かつ物理的な運動法則からかけ離れた軌道だったからです。
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それは、大日本帝国海軍による真珠湾攻撃から約3か月後のこと。昭和16年1942年2月24日の夕方。日本海軍の大型潜水艦「伊17潜水艦」がカリフォルニア州サンタバーバラ近郊の石油精製所を砲撃した。初めて本土を攻撃されたアメリカ軍と政府は大混乱に陥り、アメリカ西海岸一帯の陸海空軍全てに厳重な警戒態勢が敷かれた。
しかしその後は、日本海軍による攻撃がなかったために警戒態勢が解かれたものの、警戒態勢が解かれた直後の2月25日未明にそれは起こった。
光を放ちながら「時速数百キロの低速で飛ぶ数十機の未確認飛行物体」が、ロサンゼルス市上空に出現したのだ。零戦の場合、たとえば特攻機などは突入寸前に時速500キロを越えるはずである。この緩慢な機影は、同時にレーダーにもとらえられたためにアメリカ西海岸一帯に再び警戒警報が出された。
飛行物体を目視で確認したアメリカ陸軍によって、飛行物体に向けて1430発もの対空砲火が撃ち込まれた。対空砲射は2時間続いたが撃墜された飛行機はなかった。
数千人の目撃者の中には、対空砲火の中を光を放つ飛行物体がサーチライトに照らされている写真を撮影したものや、「秒速8キロメートルでジグザグに移動する光体」がいたことを証言するものがいた他、ラジオでは対空砲火が行われている風景が実況中継された。
この作戦中に落ちてきた対空砲火の破片を受けたり、驚きのあまり心臓発作を起こすなど、6人が死亡している。
しかし戦後公開された日本海軍の資料では、この日にアメリカ西海岸上空を日本海軍機が飛行した記録はなかった。ちなみに、日本海軍機による次のアメリカ本土空襲が行われたのは同年9月である。伊25から飛び立って、オレゴンを空襲している。)。
では、このときの「数十機」の未確認飛行物体とは、何だったのだろうかということになる。
この「事件」は、太平洋戦争の開戦時という大変古い記録だが、きわめて信憑性の高いUFOの目撃として貴重なものとなっている。
不思議なことに、朝鮮戦争、ベトナム戦争など、大規模戦争が行われていた最中には、こうしたUFOとの遭遇案件が異常な数で多発し、軍や公式記録にはおびただしいデータが遺されている。アメリカの情報公開法に基づき、こうしたデータはすでに大量に公開されている。
戦後の記録の中で、公文書として明らかになっている記録としては「レンデルシャムの森」事件がある。
「レンデルシャムの森」事件とは、1980年12月27日にイギリス・サフォーク州のレンデルシャムの森で起こったUFO遭遇事件である。
1980年12月27日午前3時、イギリスのウッドストック空軍基地近くのレンデルシャムの森に正体不明の光体が降下していった。それを基地の米軍警備兵が目撃したのだ。
3名のパトロール兵が森に向かうと、そこで直径3mの金属製の三角形をした飛行物体を発見。物体は赤と青の光を発していた。パトロール兵が近づくと飛行物体は姿を消した。
翌日の12月28日、飛行物体が目撃された地点に3つの窪みが発見された。放射能測定を行ったところ、最高0.1ミリレントゲンのベータ/ガンマ量が検出されている。
翌日の12月29日には森から「太陽のような光」が目撃された。光は5つの破片に分裂し姿を消した。その直後、空に3つの星のような物体が現れた。飛行物体は青・赤・緑色の光を放ちながら鋭角的に移動した。物体は楕円形から完全な円形に姿を変え、2~3時間にわたり観測され、時折地上に光を放射してるようであった。
上記のような一連の出来事は、米空軍基地司令官のチャールズ・L・ホルト中佐を含む複数人により目撃されている。この事件はホルト中佐により報告書にまとめられ、1983年にアメリカの情報の自由化法によって公開されている。このため、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙がこの記録を一面で報じ、初めてこの事件は一般に公になった。
新聞記事では、米軍人たちが宇宙人と接触したとも報じていたが、ホルト中佐ら基地の関係者達は、UFOの着陸は公式に認めたものの、宇宙人に関しては否認している。
ただ、多数の米兵が目撃した事や公式の報告書が公開されたことから、UFO目撃例の中では、これまた非常に信頼性の高い事件とする見方が多い。
実際、世界の政治家たちは、かなりUFOに関して踏み込んだ発言をしている。たとえば、ロシアのメドベージェフだ(現在首相、一時大統領職にも就任していた)。
2012年12月、メドベージェフ首相は、テレビ番組の収録後、マスコミの個別インタビューで質問に答えている。
記者の質問は、「大統領になると、宇宙人やUFOの情報を知らされるのでしょうか?」というものだった。これに対して、メドベージェフ首相はこう応えている。
「では、一回だけ、はっきりと言っておきましょう。大統領に就任するとまず、核兵器の発射コードの入ったケースと特別な極秘ファイルを受け取ります。このファイルは、地球を訪れている異星人に関する資料であり、そうした宇宙人を管理するための特殊機関による報告書です。ロシア国内に宇宙人が住んでいます。但し、どこにいるのか、何人いるのかは、パニックになるので言うことができません。」
この質疑応答は、次のメドベージェフの発言で締めくくられている。
「もっと詳しく知りたければ、映画『メン・イン・ブラック』を見てください。」
記者たちは、これを一流のジョークだと思って笑い飛ばしたところ、メドベージェフは「ハリウッド版ではなく、ロシアのドキュメンタリー番組のほうですよ。」と言いなおし、物議をかもしたようだ。このドキュメンタリーは、ロシア国内でのUFOの被害などをまとめた動画で、ジョークではないとしたわけだ。
さらにメドベージェフは、翌2013年1月、経済フォーラムに参加した折に、米国オバマ大統領に対し、こう発言している。
「宇宙人について、世界に真実を知らせる時が来ました。もしもアメリカが発表に参加しないならば、クレムリンは独自で情報公開をする用意があります。」
この会話がその後、どういう結末になったか、わからない。ただ、未だにロシアは行動を起こしていないようだ。
もっと現実味のあるところでは、民主党ヒラリー・クリントンの発言も有名である。
彼女は、トランプ氏と争った大統領選挙のマニフェスト(公約)に、「UFOとエイリアンの調査をすることを、国民に対し約束」している。
これは、2015年12月29日、ニューハンプシャー州で選挙キャンペーンを行っていたときに、地方のマスコミを訪問する中で、記者たちに語ったことで注目されるようになった。
ただ、選挙公約というのは問題なのである。かつて、ジミー・カーター大統領がまだ州知事だった頃、家族や友人たちと、何台もの車を連ね、SPも大勢引き連れてのピクニックに出かけたときのこと。巨大なUFOに遭遇し、全員これを目撃するという衝撃的な事件があった。
その後、カーターは大統領選に出馬したときに、やはり公約に「UFOに関する非公開文書を、すべてCIAやNSAなどに公開させる」としていたのだ。しかし、大統領になった後、この点はまったく封印された。誰も何も言わないが、かなり公開に関しては圧力がかかって、公約そのものが闇に葬り去られたと見る向きが多い。したがって、仮にヒラリーが大統領になったとしても、おいそれとすべてが公開されるということは、なかなか難しかっただろう。
アメリカこそは、このUFO情報のメッカである。この点について、カーター元大統領だけでなく、さまざまな人士が情報の公開を巡って議論をしてきた。2013年5月、アメリカは匕首(あいくち)で、横っ腹を刺された。
それが、カナダ元国防大臣ポール・ヘリヤーのカナダ議会における証言である。大臣を辞した後に、改めて議会の公聴会で証言したものである。
内容は、まとめると以下の通り。
・少なくとも4種類のエイリアンが何千年もの間、地球に来ている。
・今いるエイリアンのうち5種類の名前は「ゼータ・レティクル、プレアデス、オリオン、アンドロメダ、わし座(アルタイル)」。
・少なくとも2人がアメリカ政府機関で働いている。
・地球温暖化など、彼らのテクノロジーで地球を救うことができる。
・しかし、その情報開示を阻む、既得権を持つ「陰の政府」がアメリカには存在し、一方的に世界を支配しようとし、宗教の違い等から生じる様々な不和を引き起こしている。
オバマ政権内で、このUFO関連の情報に言及した人物では、途中退任したジョン・ポデスタ上級顧問がいる。2014年初頭に、オバマ大統領から請われる形で上級顧問に就任したポデスタだが、退任するにあたり、「実現できなかった10項目」の一つとして、「UFOの情報公開」が含まれていた。
「2014年最大の失敗。またも、UFOに関するファイルを開示できなかったことだ。」
ポデスタが、上級顧問を辞したのは、その後ヒラリー・クリントン大統領候補の選挙アドバイザーになるためだった。
オバマ大統領自身が、UFOの存在を認めたというニュースもある。ただ、これは、記者団などに対して、オフレコを前提に語られた談話であり、参加した記者によるリーク情報として、世の中に出回ったものだ。
したがって、米大統領による公式な発言ではないということ。つまり、ワンクッション入っている情報なのだ。従い、どこまで信じるかどうかという問題は残る。このスクープの内容は、以下の通りである。2013年9月に行われた、ホワイトハウスにおける早朝の定例記者会見の場である。
・エイリアン(異星人)とのコンタクトは、1950年代以降行われてきた。
・原因は、原子核分裂の発見と核兵器の使用によって、地球に呼び寄せられてきた。
・トルーマン大統領は彼らと取引をし、技術交換のための基地を作らせた。
・アイゼンハワー大統領は直接、エイリアンの1グループと接見した。
・エイリアン側のかねてからの要求は、人類の核武装の解除である。その場合は、覚醒した宇宙の兄弟関係に地球を組み入れても良い、というもの。不幸なことに、われわれ米国政府とソ連政府は、核兵器の保有に固執し、物別れとなったまま、現在に至っている。
・以来種々のエイリアングループが、地球の核兵器放棄のための、秘密のプログラムを実行してきた。
・エイリアンは長い間地球の周辺に滞在しているが、彼らの全てが宇宙船で旅行をするのではない。
・エイリアンは、唯一のものではない時間と空間を操作できる。
・問題は、この時間が経過してきた60年間の間に、彼らが我々の政府をコントロールすることができるようになってきた、ということだ。これは、冗談で言っているのではなく、われわれ人間は今、直面している恐ろしい事態に対する責任があるということだ。
オフレコとはいえ、もののずばりの談話であるためか、リーク記事によると、定例記者会見の最後に発生したこの場面を、非常に「シラけた」、「後味の悪い」雰囲気にさせた、としている。
ここまでくると、いささか荒唐無稽の、まったくのガセ記事のように見えるが、そうともいえない。この日本で、自衛隊機とUFOとの交戦記録があるのだ。
アメリカ人の通信社記者リチャード・ドレイパーは、アメリカで発行されていた『UFO REPORT』誌(一九七八年三月号)に、次のような記事を掲載している。
『一九七四年六月九日。茨城県の航空自衛隊百里基地。ナカムラ・トシオ二等空佐の操縦するF-4EJファントム戦闘機は、夜間の東京空域に現われた赤みがかったオレンジ色をした円盤型航空物体の迎撃のため、緊急発進した。
ナカムラ二等空佐は、物体を撃墜するために20ミリ・キャノンを準備したところ、物体は高度、一万フィート(約3048メートル)に急上昇し、急激な方向転換をしてファントム戦闘機の攻撃を避けようとした。
その後、UFOとファントム戦闘機は衝突したらしく、ファントム戦闘機は制御を失って炎をあげながらきりもみ状態で墜落した。
パイロットはエジェクション・シートで脱出したが、ナカムラ二等空佐のパラシュートは炎上し死亡。同乗していた副パイロットのクボタ・シロウ三等空佐は生還した。
クボタ三等空佐の後述によると「追跡中、この物体は非常に知識の進んだ生物によって操縦されているに違いない」と確認していたという。
航空自衛隊は、その後四年間の調査をした結果、このF-4EJ戦闘機、製造番号17-8307は「航空機」または「未知の物体」と衝突したと発表した。』
自衛隊は、この事件そのものを否定している。この問題を調査した民間人は、防衛庁(当時)と何度も交渉した結果、製造番号までたどり着くことができている。興味深いことに、防衛庁の記録では、17-8303から、27-8303まで欠落している。無かったことにされているのかもしれない。
実はこうした悲劇的な交戦・衝突事件とまではいかないまでも、自衛隊機によるスクランブルは頻繁に起こっているようだ。以下は、1978年8月17日、日経新聞夕刊の記事である。当時は、全国版の新聞各社が一斉に報道している。
『十七日深夜、北海道上空に識別不明の未確認飛行物体(UFO)が現れた。
航空自衛隊のファントム戦闘機がスクランブル(緊急発進)をかけて追跡したが、UFOの姿を見分けるまでにはいたらなかった。
自衛隊では「飛び方やスピードからみて、飛行機などではない」としているが、栗栖前統幕議長の“超法規的行動発言”以来大揺れの自衛隊にとって、とんだ“有事の証明”となった。
十八日午前、防衛庁に入った連絡によると、十七日午後十時半ごろ、北海道根室海峡付近で釧路方面に接近する飛行物体を、根室市光洋町の航空自衛隊根室分屯地レーダーがとらえた。
直ちに航空自衛隊千歳基地からF-4EJファントム二機が緊急発進したが、両機のレーダーでは確認できなかった。
この未確認飛行物体は高度900メートルから1800メートルを上下しながら、時速約70キロで釧路方面に動いていったが、約一時間後、釧路の海岸線付近でレーダーから消えた。
根室基地のレーダーには追跡するファントム機二機がこの未確認飛行物体(UFO)に接近したのがはっきりと映っていたにもかかわらず、ファントム機のレーダーやパイロットの肉眼では確認できなかったという。
この未確認飛行物体は根室市の自衛隊レーダーサイトにも映っており、千歳基地から新たにファントム機四機が発進、計六機で付近を捜索したが、発見できなかった。
航空自衛隊では気球やアドバルーンがレーダーに映った可能性もあるとみて関係方面に確認を急いでいるが、同日正午現在、関連情報は入っていない。』
こうした接近遭遇のようなケースは、民間旅客機のパイロットの間では、世界中でほぼ「常識化」している側面もある。ただ、現役中に公言したり、飛行記録に遭遇した件を書くと、ただちに地上勤務に回されてしまうというのも、事実である(実際、そういう羽目に陥った人を知っている。)
「果たして、UFOがいるのかいないのか」、という段階ではどうやらなさそうである。もしかしたら、かなりの部分まで情報公開されるようになるのも、時間の問題かもしれない。