御坊 夜伽草子

小説

※千年も生死を繰り返した居候の修験僧が、女子大生に語る千夜一夜物語。

わたし(女子大生)の家に、一人の三十代の修験僧が居候している。家族の誰も、彼の素性や本名、なぜ家にいるのかを知らない。しかも、まるで家族同然のように接している。わたしは御坊(おんぼう)さんと呼んでる。彼によれば九十九回死んでは生き返ったという。大きな罪を犯したので、如来から「百八回繰り返さないと往生できぬ」と申し渡されたというのだ。毎夜、御坊さんは平安時代から現代に至るまで、どんな生き死にをしてきたのか、語ってくれるようになった。幽霊、妖怪、魑魅魍魎との戦い・・・失敗談も、泣き笑いもある。・・・こうして、わたしだけの「千夜一夜物語」が始まった。・・・

(本連載は、すべて古今東西の古典的な名作怪談や文学作品を素材として、根本から作り直した翻案小説です。一夜読み切りの短編集です。原作を越える深さ、面白さが出せているでしょうか。)

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本編は以下のPDFでご覧いただけます。

御坊夜伽草子 

目次

巻一
プロローグ
第一夜 夜叉尼
・・・高野聖 (泉鏡花)

第二夜 結界破り
・・・ヴイィ(ゴーゴリ)、耳なし芳一(小泉八雲)

第三夜 大なゐ
・・・嵐が丘(ブロンテ) 、アッシャー家の崩壊(ポー)

第四夜 尸(し)林(りん)の夜
・・・雨月物語、青頭巾 (上田秋成)

第五夜 盆の送り
・・・牡丹燈籠 (三遊亭圓朝)

第六夜 魔法陣に死す
・・・阿部一族(森鴎外)、魔界転生(山田風太郎)

第七夜 あまつい
・・・伍秋月(聊斎志異)撰集抄第五

第八夜 大利根異聞
・・・ 黒衣の僧(チェーホフ)、天保水滸伝(室井琴凌)

第九夜 楡(にれ)の木の下で
・・・復活 (トルストイ)

第十夜 木曜島から
・・・眠れる森の美女(ペロー)、茨姫(グリム)

エピローグ

巻二

プロローグ

第十一夜 権(ごんの)少将の娘
・・・藪の中 (芥川龍之介)、今昔物語集巻第二十七

第十二夜 夏木立
・・・武蔵野(山田美妙)、雨月物語・浅茅が宿(上田秋成)

第十三夜 きりぎりす
・・・実盛(世阿弥)、地獄変(芥川龍之介)

第十四夜 奈落
・・・悪霊 (ドストエフスキー)、金鳥玉兎集

第十五夜 人恋し
・・・オペラ座の怪人(ルルー)、ノートルダム・ド・パリ(ユゴー)

第十六夜 金木犀の咲く頃には、
・・・椿姫(小デュマ)、南京の基督 (芥川龍之介)

第十七夜 龍の爪
・・・猿の手 (ジェイコブス)

第十八夜 あの夜(よる)、星がささやいた
・・・少年の裏切り(ドーデ)

第十九夜 ゆめ忘るまじく候
・・・ドリアン・グレイの肖像(ワイルド)

第二十夜 パニヒダの夜に
・・・奇巌城 (ルブラン)

エピローグ

 

 

 



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