花粉症、まるで他人事のようですが・・・

雑話

これは331回目。東京はいきなり寒くなりました。まだ冬の入り口ですが、早くも春の到来が待ち遠しくなります。ところが、わたしはそれでいいのでが、世の中はそうではありません。花粉症という恐ろしいものが猛威を奮うからです。しかも、聞けば、春先だけではなく、一年中違う花粉が飛んでるというではありませんか。

:::

アレルギーということなのだ。わたしは、幸か不幸か、アレルギーがない。と、思う。

が、父親か、昔々の人間だったが、サバ・アレルギーで、花粉症持ちであった。

このアレルギーというのは、馬鹿にできない。

何年前だろうか、アメリカの女子高校生が、自宅でいきなり発作を起こして心配停止となり、結局、ほぼ即死となるケ一スがあった。

彼女は極度のピ一ナッツ・アレルギーだったのだが、当日、周囲には一切ピ一ナッツの存在の形跡もなかった。

遊びにきていたボ一イフレンドは、呆然自失。何が起こったのか皆目わからなかったようだ。

しかし原因はすぐに判明した。ボ一イフレンドはその日の朝、ピ一ナッツバターでパンを食べたのだ。

そのときの報道には、彼が彼女のアレルギーのことを知っていたのか、あるいは知っていたとして、食後歯を磨き、口腔内をよく念入りに洗浄していたのかは、詳らかにされてはいなかった。が、間違いなくしていたであろう。

ただ、その日、彼が、彼女の家に行き、ちゅ〜をしたら途端に彼女は昏倒してしまったことは、はっきりしている。

これは死んだほうもたまらないが、彼のほうも悔やみきれない話だろう。気の毒としか言いようがない。

わたしはよく知らないのだが、蕎麦(そば)アレルギーというのもあるらしい。

日本の古い旅館は蕎麦殻(そばがら)のまくらが多いと思う。昔は多かった。

あれなぞは、蕎麦アレルギーのひとは、寝てる間にあの世行きになりやしないかと、心配になる。

本人も一体、なにか自身にアレルギーがあるのかどうか、よく知らないケ一スもあるだろうから、まったく人ごとではない。

かくいうわたしだって、もしかしたらとんでもないアレルギーを持っているかもしれないのだ。

さて花粉症。わたしが子供の頃、それほど社会問題化していたような記憶がない。あるにはあったが、こんなに大騒ぎしていただろうか。ということは、40年前に比べて、花粉症の人が劇的に増えたということなのだろうか。それとも、問題視されていなかっただけのことだろうか。

ものの本によると、現在国民の3割が花粉症なのだそうだ。これは驚くべき数字だ。年齢別に見ると、昭和元年から20年生まれの人の発症率は40%未満。昭和30年代以降の生まれの人は80%近いという統計だ。

どうも最初に日本で確認された花粉症は、1961年、駐留軍が持ち込んだブタクサだったようだ。戦争で焼け落ちた山に植林された、大量の杉(これもアメリカから輸入された)によって、スギ花粉の症状が主流になっていったという経緯がある。

どうも、もともと日本にはこういう大規模な年齢層に蔓延するような花粉症というものは、無かったらしい。面白いのは、アジアではモンゴル人にはほとんど花粉症がいないということ。そして日本でも、農家の人には花粉症が非常に少ないという。

これには、一説には理由があるようだ。モンゴルのような遊牧民や、日本の農家というのは、エンドトキシンという菌が多い人というのは、花粉症の人に多いIgE(免疫グロブリンE。5種の抗体の一つ。アレルギー反応に関係する抗体。)が少ないという。このIgEの多寡は、一歳未満のときに、家畜との接触が多いか少ないかで決まる。エンドトキシンは、家畜の糞に多い。

もっとも、こういったアレルギーというものは、それぞれの人間がもつ、ある物質を許容できる限界量を突破したら、誰でも発症するわけで、半世紀以上生きてきたわたしも、今年はいきなり花粉症にやられるというリスクが無いとも言えない。人事ではなさそうだ。



雑話