虫の声~外国人と日本人の違い

雑話


気休めにお読みいただいて、「ほうっ」「へえ」「う~ん」といったような声が出そうなことを、ジャンルを問わず、掲載していこうと思います。日付が変わるころのひとときにでも、ちょっとした他愛のない気づきにでもなれば、大変うれしいです。さて、初回の今回は、虫の声って、外国人にはどんな風に聞こえるんだろうかというお話。

▼日本の株式市場では、圧倒的に外人投資家が幅を利かせている。このところ、個人投資家が奮闘しているが、総力戦ではとてもかなわない。国内機関投資家は、音無しの構えである。一体、外人はどのように日本を襲うのだろうか。PEG(Price Per Growth=成長率から割り出される投資指標)で銘柄を絞り込んで買うという説もある。景気循環の初動で大挙してやってくる、という説もある。いずれにせよ、彼らと日本人では、ものの考え方が違う。彼らがなにを考えて、どうしようとしているのか、なかなかわかりにくい。

▼ある大学で実験がなされた。大勢のアメリカ人と日本人に被験者になってもらい、脳波をチェックしたのだ。具体的にはこおろぎや鈴虫など虫の声を聞かせるのだが、そこで右脳と左脳とどちらが反応するか、という実験だ。周知の通り、日本人は虫の声を愛でる。アメリカ人は、たいてい雑音や騒音のようにしか聞こえないそうだ。ノイズ、でしかないのである。美しいとはとても思えないという。

▼右脳というのは、知覚・感性をつかさどる。左脳は、思考・論理をつかさどる。どういう結果が出たとお思いだろうか。おそらくこんな感じで想像する方が多いはずだ。日本人は右脳(感性)で聞き、アメリカ人は左脳(論理)で聞くと。ところが逆なのだ。日本人は左脳(論理)が反応しており、アメリカ人は右脳(感性)が反応している。驚きの結果だ。

▼この解釈を聞くと、ああなるほどと思われるかもしれない。日本人は、虫の
声を明らかに論理・思考で聞いているのだが、それはそこに「意味がある」と思って聞いているからだそうだ。一種の言葉のようなものだ、と聴いているのだ。だから、その意味はわからないけれども、喜びや、悲しみなど、さまざまな思いが、そこに込められていると思って聞く。

▼ところが、アメリカ人は虫の声に「意味がある」とは思っていない。感性で聞いているため、ただの「おと」の羅列にしか思えないのだ。長年日本に住んでいる外国人(それはイタリア人なのだが)、二十年もたって、ようやく虫の声が綺麗だな、と思えるようになったと言ったのをわたしも覚えている。それも、どうして日本人が虫の声を美しいと思えるのか、それがわかった後に、自分も同じように美しいと思えるようになったというのだ。

▼つまらない例だが、この違いは天と地ほどの差がある。だから、乱暴な話、外国人が日本株を買ってくるといったときも、わけがわからないからとりあえず、一番指標となるような大型の、代表銘柄ばかりをどっと買い込むのだろうか。日本の社会は大企業を頂上に、中小のおびただしい企業群がピラミッド型で存在しており、これが不況にあっても大きな緩衝材の役割を果たしている。多くの新技術も、そうした中小企業から湧き上がってくることが多い。外国人がもっと日本のことを理解したら、今とはまた違った買い方をするのではないだろうか、と思ってみたりもする。



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