マルクスの幻滅

雑話

これは411回目。

今、マルクスが生きていたら。そして現在の中華人民共和国を見ていたら、どんな思いをするでしょうか。さぞ、幻滅することでしょう。

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新型コロナウイルスは、中国で峠を越えたかどうか、まだわからない。が、次第に感染そのものは鈍化していっているような気はする。もっともデータそものが出鱈目だという疑念はいつまでたっても拭いきれない。

一方で、あれだけ、強権的に封鎖と断絶を行えば、それは早期に終息させることも可能だろう。民主国家ではなかなかああはいかない。

そろそろ早め倒しに中国政府は「新型コロナウイルス感染は、終息した」という宣言を出そうとタイミングを見ているのだろう。

だいたいこういう感染というのは、第二次拡散、第三次拡散と、波状的に拡大と収縮を繰り返しながら、次第にほんとうの終息に向かっていくものだから、その程度を見ながらということなのだろう。

それにしても、鉄面皮とはこのことだ。

自分のところが発信源にもかかわらず・・・、

「世界は中国がいち早く事態収拾に向けて動き出していることに感謝すべきだ」

「世界は、中国がどうやって新型コロナ・ウイルスの覆滅に成功しつつあるか、それをよく学ぶべきだ。」

「世界は、中国に対する不当な経済封鎖や人的流入阻止を解除すべきだ」

などと言い出している。これが、ふつう日常の個々人の人間関係であったら、およそ誰もこういう人間とはつきあわないようにするだろう。

それをわかってやっているのだとすれば、非常に悪質であり、わかっていないとしたら、まったく人間としての品格が欠如しているということになる。

2017年のことだが、共産党大会で習近平主席は、「新時代の中国の特色ある社会主義」を高らかに歌い上げ、自讃した。

はて、マルクス主義の中国化というのは一体どういうことなのだろうか。中国の特色あるマルクス主義というのだ。

実際にやっていることというのは、資本主義のマネごとであり、あたかもマルクスが葬り去ろうとした資本主義に対しては逆走しているのが中国である。

一方で共産党独裁はどんどん強化している。デジタル技術を共産党支配に徹底的に活用しようとしている。一般にこれを「デジタル・レーニン主義」と呼ぶ。マルクスの言った「共産主義」ではないことだけは、はっきりしている。

顔認証で犯罪歴データと照合し、摘発するのに使うといっているが、一番共産党がご執心なのは、そうではなく政治犯の摘発と拘束である。

ジョージ・オーウェルの「1984年」の監視国家さながらのありさまになっているのが、現在の中華人民共和国だ。

しかも、驚くべきことに、習近平主席の言う「中国の夢」とは、中華民族の偉大な復興だという。ナショナリズムそのものである。

「万国の労働者よ、団結せよ!」と共産党宣言で訴え、「インターナショナル」を開いたマルクスとはどんどん距離が広がるばかりか、水と油である。

一番近いのは、ヒトラーや、スターリンであろう。

マルクスをゾンビのように蘇らせて、習近平主席に「おまえ一体、ほんとに俺の言うこと聞いてるのか?」と一喝していただきたいと思うのは、わたしばかりだろうか。



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