わたしはこの国に失望している・・・

政治・経済, 歴史・戦史

これは351回目

大陸が揺れている。

中国共産党政府は、五十年間の自主権を約束した中英協定を破り、国家安全法の成立を急いている。
アメリカは牽制しているが、中共はこのまま押し切るだろう。

アメリカの対応はご存知の通り、事実上、自由都市・香港は消滅するということで、香港に対して行ってきた最恵国待遇を剥奪すると宣言。

中国の鼻薬の効いたWHOからの脱退も言い始めた。

香港にあるアメリカの領事館は売却を決定。完全に香港からの撤退を決めたと言って良い。

中国は自ら暴走し、オウンゴールをし続けているようだ。これが共産党政権を崩壊に導くことは誰がみても明らかなのに、習近平国家主席はもはや強硬策以外に選択肢は無いと見きったようだ。

それもそのはず、温家宝元首相はじめ、五人の元老が「五老上書」を習近平政権につきつけ、その失政を糾弾した。

また、故・鄧小平の息子、鄧樸方氏は、「習近平宛ての十五ヶ条の公開質問状」をつきつけ、米中紛争、台湾との対立、香港騒乱、ウイルス蔓延の責任、景気悪化と失業率増大を始め、具体的に習近平政権の失政をやはり糾弾した。

いずれも、専門家によると元老たちの文章とは違うらしい。ゴーストライターであろう。ただ、重要なのは元老たちの名によって、現役の共産党政権に対して公然と糾弾する文書がリークされた、という事実だ。

香港の騒乱に始まった中国における社會不穏は、チャイナウイルスによって加速している。

香港が、従来の香港でなくなるのは時間の問題となっている。香港在住者の37%が国外脱出を希望しており、300万人相当はすでに英国の海外市民としてのステータスを得ているか、申請さえすればこのステータスを獲得できる。

英国も、米国も、そして香港人が一番移住を希望している台湾も、香港人の受け入れに門戸を開いた。

人とカネが、大規模に香港から流出する。日本は、どうしてこういうときに、門戸を開き、香港人受け入れを積極的に表明しないのか。そんなに中国が怖いのか。

わたしはこの国に失望している。国民にも失望している。これだけネットが個人の手に行き渡った時代にあって、なぜ皆一人一人が、自分のブログで香港の自由と民主主義を支援しようとしないのか。

一人一人のブログが、一度でも良い。「香港を救え」とネットで訴えるだけで、とんでもない「うねり」を生み出すはずなのに。

まあ、私事ではあるが、この一年、わたし自身も日本人というものの、「大義の無さ」というものに、個人的に失望した経緯はあるのだ。

勤めていた会社で、(いろいろそれまでに経営との対立はあったのだが)経営が情報漏洩の事実を知りながら隠蔽したことがある。

わたしは、ずいぶんとそれを非難し、善処を求めたが無視されたのだ。それにとどめておけばよかったのだが、社員二十人くらいの会社だが、経営者が交替して七年、18人が辞めていった。6人はパワハラ・セクハラで病院送りとなった。

現在在職しているのは17-8人であろうから、つまり、入社する人とほぼ同数が辞めていったということになる。ひどいケースでは、出社初日に経営のパワハラぶりを見て慄然として、翌日退社した人すらいるくらいだ。

わたしは、一番年長であるし、しょせん用無しだ。どうせわたしと経営との紛争が解決しないのであればということで、泥をかぶることにした。

顧客たちに、経営が顧客情報漏洩を隠蔽している疑いについて告発した。
顧客の利害が毀損されつつあると告発して、経営に善処を求めるための最後の手段だった。
たちまち、わたしは謹慎処分となり、結果懲戒解雇となった。
それはいい。

しょせん、わたしが自分で一人で戦うことだから、結果がどうなろうと誰を恨むつもりもない。

しかし、残った社員たちは、わたしのこの告発騒ぎをテイクチャンスして、経営の無動ぶりを改めてくれと立ち上がる絶好のタイミングだったのだが、誰も立ち上がらなかったのだ。わたしのことではない。顧客の利益のためであり、社員たちの労働環境の改善という自分たち自身のためであったにもかかわらず、それでも立とうとはしなかった。

日本人というのは、だいたいこういう傾向があると、もともと思ってはいたが、改めてわたし自身思い知らされた次第。

論語に、「義を見てせざるは、勇無き」という有名な言葉がある。
これを知ったのは、中学のときだ。

なかなかできることではない。
ましてや、自分の命がかかっているときには、そう簡単にできることではないが、それにしても日本人というのは、「我が身大切」に過ぎ、あまりにも世の中に対して関わろうとしなさすぎやしないだろうか。

そういう意味では、今回の香港の問題では、ことさら日本人の「ことなかれ主義」をまざまざと見せつけられているようだ。

見て見ぬふりをし、「中国が平和的に香港問題を解決することを希望する」などと何の役にもたたない声明は、要するに「不作為」の「犯罪容認」をしているようなものだ。

ナチスが行ったような中共による犯罪行為を、この国もこの国民も、「見て見ぬ振りをし」続けるのだろうか。

次に台湾、そして尖閣列島、沖縄と、中共の「第一列島線」の支配権確立がとめどもなく進行することが、日本人には見えないのだろうか。

今、中国では香港、チャイナウイルス、元老たちの習近平政権批判に続いて、第四の、それもかなり致命的な激震が走ろうとしている。

水害である。
三峡ダム決壊のリスクの真贋は、専門家ではないのでよくわからない。
ただ、現実に、ダム上流は水没地域が多発しており、予告なしのダム放水も行われており、すでにずっと下流の南京でさえ、腰まで水に浸かるようなとんでもない状況になっている。

ここから二ヶ月。台風シーズンである。
昨年の降水量に比べ、今年は現時点までで年率換算で+4%の増加をしている。

仮に、三峡ダムの決壊、あるいはそれ以外多数の小規模ダムの決壊が起こった場合に、長江流域4億人の生活圏が破壊されるという試算がある。

中国が一帯一路プロジェクトで建設したブラジル、エクアドル、ウズベキスタン、ラオスのダムは、すべて決壊した。
中国本土で、決壊しないなどと、誰が言い切れるだろう。

この夏、誰も想像しないような酷い水害が長江流域に発生した場合、武漢ウイルスどころの話ではない。

311大震災の何倍もの広域性と被害を、中国にもたらすことになる。
ダム決壊による洪水は、専門家の試算では通常洪水の25倍のインパクトだという。

習近平政権はこの最大の問題に、対処できるだろうか。

すでに、850万人が被災したと言われるが、直近では1200万人という数字も出てきている。

中国共産党政権は、ことによるとこの水害の程度、それに対する対処法の過ちによっては、本当にレジーム・チェンジ(体制転換)のトドメを刺すことなりかねないだろう。

余談だが、北朝鮮も揺れているようだ。

金正恩委員長が、果たしてすでに死亡しているのか。
存命であるとしても、かなり重篤な状況にあって、そのため妹さんの金与正第一副部長に、権限移譲が行われているのか。

中国以上に、その実体は皆目雲を掴むようだ。

ただその筋によれば、金正恩委員長には、正妻以外の女性との間にご子息がおられるようで、まだ11歳の男子だという。

その子はさすがに後継者には早すぎる。そこで、妹さんの金与正第一副部長が養育しているとの話だ。
それまでの「つなぎ」の金与正政権が成立するのかもしれない。

ただ、朝鮮労働党はそんな継承決議はしていないといって、突き上げをしているらしい。

金一族を取り巻く国家保衛部と朝鮮労働党はがちんこの対立構造になってきているとも言う。

中国のみならず、朝鮮半島も揺れている。

いずれにしろ、どちらの独裁政権もそう長くはなさそうだ。
そのとき、日本人はただ、指を加えてその前後に起こる悲劇を、ただ見守っているだけなのだろうか。
一番近い国であるにもかかわらず、だ。

さらば、アンシャン・レジーム(旧体制)・・・
それは中国、北朝鮮に対してのわたしの呼びかけではない。
この国と国民にたいする呼びかけなのだ。