常識を疑え~データでモノを言いましょう

歴史・戦史

これは48回目。常識と呼ばれるものをまず疑いましょう。そして、事実とデータでモノを言いましょう。ちょうど今、「ファクトフルネス」という本がベストセラーになっているそうです。読んでないので何とも言えませんが、本屋でぱらぱら見た感じでは、同じことを言っているのだろうと思いました。

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かつて、アインシュタインが言った。

「常識とは、十八歳までに身につけた、偏見と誤解の集積である」

いささか言い過ぎに聞こえるだろうが、アインシュタインが言いたかったポイントは察していただけるだろう。要するに、しかしすべてを疑えということなのだ。

たとえば、近年テレビや新聞で凶悪犯罪や、青少年の目を覆うばかりの犯罪がこれでもかこれでもかと報道される。報道の仕方も、社会がおかしくなってきている、人間が狂ってきている、昔はこうじゃなかった、といったようなていばかりだ。

しかし、実際の統計では刑法犯は、2018年の時点で戦後最小の81万件である。ピークは2002年の285万件だ。つまり、第二次金融危機に突入していった、経済危機の真っ最中だったのである。
もっと言えば、若年層による凶悪犯罪は、戦後ほぼ一貫して減少している。日本の若年層は、犯罪報道のイメージとはまったく逆で、実はどんどん「優しく」なってきたのである。

ではなぜ、今、「社会がおかしくなっている」と思うのか。ほぼ、メディアの暴走によるものといっても過言ではない。なにか猟奇的な事件が起きると、朝から晩まで毎日これをメディアは追いかけまわし、まるで日本社会全体がこの一つの猟奇的な事件で振り回されているような観があるのだ。

環境面でも裏付けられる。わたしが子供の頃の昭和三十年代。大都市ですら、そこここに空き地があり、野原があったのだ。街灯も少なく、夜ともなればあちこちに闇が広がっていた。犯罪は起きやすかったのだ。今ではどこにも監視カメラがあり、街灯も多く、闇を見つけることのほうが難しい。

実は日本は、犯罪、とくに青少年による凶悪犯罪は、激減しているといっていいのだ。これとわたしたちが皮膚感覚で認識する犯罪の多さというものは、あまりにも懸隔が甚だしい。視聴率を上げるためにセンセーショナルな事件ばかりを執拗に報道するスタンスが、わたしたちに誤解をさせてしまっているのだ。

確かに受け手の問題もある。テレビでひどい話を報道されれば、自分はそれよりもずっとマシだと思える視聴者というものの体質である。自身の日常生活のさまざまな鬱憤というものを、テレビの判で押したような醜悪報道で、言わばガス抜きしている、という現実である。

が、それではダメなのだ。こういう状況が、間違った「常識」をどんどん作り出しているからだ。

実際「常識」くらい、アテにならないものはない。百人いれば、百人の正義があるのと同様に、まったく世の常識というものには、核心というものが無いのである。

それは日日の事件報道ばかりではない。歴史がそうである。そもそも歴史とは、ほとんどが勝ち残った勝者の歴史であるから、彼らにとって都合の良い事実に「書き換えられて」しまっている部分が非常に多い。教科書をまったくうのみにできないのである。

たとえば、国際金融資本の陰謀を、「根も葉もない、おとぎ話。都市伝説。」だと切ってすてるのは簡単だが、それでは「定説」の外に置き去りにされた説明不能の事実に立ち尽くすばかりだ。

ロシア革命を例にとってみよう。ロシア革命といえば、世界発の共産主義革命として名高い。一方で、以下に列挙したものも、すべて事実である。

・1921年、ロシア・ボルシェビキ革命( 10月クーデター)の指導部のほぼ全員( 100名超)が、亡命者たちであった事実。

・レーニン、トロツキーら指導部のほとんど全員といっていいほど、ロシア系ユダヤ人であった事実。

・その彼らに、クーデターに必要な、膨大な赤軍創設のために資金を貸し出したのが、英国ロスチャイルド系の財閥たちだったという事実。資本主義の権化が、世界発の共産主義革命の運動家たちに膨大な資金を貸し付けたことになる。レーニン、トロツキーは一人当たり、55万マルクである。

・実際にそれを実行し、レーニンたちを「封印列車」でドイツ国内を通過させ、ロシアに送り込んだのは、英国と交戦中のドイツ帝国における皇帝直属の秘密警察長官マックス・ウォーバーグと、ドイツ国軍情報部長官のフェリックス・ウォーバーグであり、マックスの兄弟は当時のアメリカの初代連邦準備銀行(連銀、FRB)の初代議長であったという事実。おまけに、マックスとフェリックスは第一次大戦後、ドイツにおけるユダヤ系財閥として大成しているという事実。

・レーニンたちは、革命成功後、ロマノフ王朝一家を惨殺して、その所有金塊(当時世界最大の金保有者がロマノフであった)で、ロスチャイルドに一括完済を果たしたという事実。ちなみに日本は日露戦争の際に英ロスチャイルド系に買ってもらった戦時国債を、1986年にようやく完済した。

・レーニンが存命中は、ロシア正教会の90%が破壊しつくされた(共産主義は宗教を否定するためだ)。が、どういうわけかユダヤ教のシナゴーグは、一つも破壊されることが無かったという事実。

こういう事実を並べていったときに、ロシア革命というものが、教科書や歴史の常識として言われているようなものなのか、大変疑問に思えてくるはずだ。
一体、ロシア革命とは、誰の、誰による、誰のための革命であったのか。こういうことを、「ただの根も葉もない陰謀論」だとして、全否定するのは、ほとんど思考停止以外のなにものでもない。

こんなふうに世の中のことを見ていくと、およそ「常識」や「定説」と呼ばれているものの多くが、実に怪しいものであるということがわかってくる。真実はたった一つしかないはずなのだが、それがほんとうにそうなのか、なかなかわかりにくい。見ようによっては別の解釈もできたりする。はっきりしている事実とデータをもとに、決まり切った「常識」や「定説」を覆し、考えられるすべてを動員しなければ、その真実にたどりつくことはできない。

2013年に亡くなった、コリン・ウィルソン(名著「アウトサイダー」は、学生時代に、よく読んだものだ。たぶん、同世代の本の虫は、こぞって読み耽った覚えがあるはずだ)が、こんなことを言っていた。たぶん、これがわたしが言いたいことを、一番正確に表現しているかもしれない。

・・・私は朝、目覚めると
ありのままの世界ではなく
自分が創造しうる
数百万もの世界を見る・・・



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